氏名:嘉藤 慎作(東京大学)
発表タイトル:「17世紀港市スーラトと外港、後背地―前近代南アジア港市論―」
本報告では、17世紀、ムガル帝国下最大の港市として繁栄したスーラトの外港、後背地との関係を空間的に分析した。外港に関しては、河口内に位置したスーラトを大型船の停泊など様々な点で外港スワーリーが補完する役割を果たしたことを明らかにした。後背地に関しては、港市を支える上で果たした機能を踏まえて3つに分類し、港市スーラトの繁栄がどのように創出されていたのか、そのモデルを提示した。また、こうした分類、モデルが同時代の南アジアの他の港市との比較、あるいは同地域の前後の時代との比較に貢献できる可能性を示した。討論の際には、今後の課題として、こうした分類、モデルが18世紀以降のスーラトの歴史的展開を分析する上で本当に有用であるのかをさらに検討する必要があること、報告で使用した用語の定義の曖昧さなど再考すべき点があることなど、今後の研究に資する様々な助言、指摘をいただいた。こうした助言、指摘を参考にしつつ、さらなる研究の発展につなげていきたい。