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特別研究班

特別研究班2019-05-27T15:34:14+00:00

本研究班では、自然生態環境と経済活動に焦点をあてた研究(研究グループ 1) と、民主政治・国際関係に関する研究(研究グループ 2)の成果をふまえつつ、双方にまたがるような現代的課題をとりあげ、学際的視点から理解を深化させることを目的とする。

元来人々は、環境条件のもとで生態系に働きかけ、それとの相互作用、とりわけ技術の開発・適用を通じて、適応進化しながら生存してきた。人々の生活様式は自然生態環境から制約や影響を受け、ときに劇的な改変を迫られてもきたが、自然環境から「資源」を獲得することで生存を維持してきた。また資源の利用は、技術を媒介にして行われてきたため、時代によって大きく変化してきた。この資源は人々の生存を支えてきただけでなく、その分配のメカニズムを通して社会を形成してきた。また資源の分配は権力関係と交差することで、政治的なコンフリクトや交渉を生んでもきた。

南アジア研究において、資源の利用・分配と関わる社会・政治制度の形成や歴史的変容は主要な関心事の一つであった。特に、地域社会内部での利用・分配の制度の在り様とその歴史的な変容、これが国家資源をめぐる獲得競争においていかに持続/是正されたかといった問題について、知見が積み重ねられてきた。しかし現代において、自然資源は単に生存のために利用されるのではなく、経済的利益の追求のために搾取されるような傾向が強まっている。経済自由化以降の南アジア地域では急速な工業化やグローバル資本の導入を背景に自然資源の利用をめぐる競合や摩擦が生じ、農村―都市間、地域間、国家間など異なるレベルで資源獲得の競合や政治的コンフリクトが深刻化している。さらに、自然生態環境をめぐる競合や交渉は、人と人の間にとどまらず、人と自然環境との間でも深刻化している。植民地経済や国家経済に組み込まれて以降、人々の環境形成作用はその規模・程度において拡張の一途をたどってきたといえるが、自然災害や健康被害などにみられるように、こうして過度に人間化された生態系が、人間にとって新たな脅 威をうみだすような事態も起きている。

本研究班では、人々と自然環境との相互作用の在り様が急激に変わってきた植民地期以降の南アジア地域を主な対象に据え、自然資源の開発・利用・管理・分配をめぐっていかなる交渉や政治過程が展開してきたのかを考察する。また、その政治過程において、異なる社会集団間、あるいは人―自然生態環境の間でいかなる新たな関係性が生じつつあるかについても考察する。これを通じて、南アジアにおける自然環境、政治、社会のダイナミクスを包括的に捉えることを目指す。

代表者:中村沙絵
(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授)

特別研究班 「南アジアにおける資源環境問題と政治過程」メンバー

肩書き 氏名 所属・職名
代表者 中村 沙絵 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授
研究分担者 石井 美保 京都大学人文科学研究所・准教授
加治佐 敬 青山学院大学国際政治経済学部・教授
月原 敏博 福井大学国際地域学科・教授
デスーザ ローハン 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授
藤倉 達郎(グループ2と兼任) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授
水野 祥子 駒沢大学経済学部経済学科・教授
脇村 孝平(グループ1と兼任) 大阪経済法科大学・教授/
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・客員教授