【FINDAS】[2013年度FINDAS研究会]「言語/文学からみる現代南アジア ―対抗・アイデンティティ・セクシュアリティ」

【日 時】2013年4月21日(日) 13:00~18:00

 

【場 所】

外大本郷サテライト 5階セミナールーム(http://p.tl/p5yo


発表者①:

萬宮健策(東京外国語大学)

タイトル:「現代インドにおけるスィンディーの位置づけ」

要旨:
インド国内には約250万人(2001年国勢調査)のスィンディー語母語話者が居住する。そのほとんどは、現パキスタン側から、印パ分離独立を機に移住してきたヒンドゥー教徒である。ムスリムとヒンドゥーの間の対立があまり深刻ではなかったと言われるスィンド地方(現・パキスタン)からインドに移住した人々の観点から、言語に関するインド政府の対応を、パキスタン側の事情も考慮しつつ、あらためて考える。

 


発表者②:

石田英明(大東文化大学)

タイトル:「ヒンディー・ダリト文学の歴史と現状」

要旨:
ヒンディー語のダリト文学は1990年代初頭頃からその存在が知られるようになった。当初はヒンディー文学界に存在を認知させるため、作家個々人の努力が続けられるが、90年代末頃から文学団体としての組織化を求める声が高まり、2000年に「ダリト作家連盟」が誕生する。しかしカーストや考え方による作家グループ間の対立が次第に進み、2004年に議長が交代すると、対立はさらに進行して、2008年には二つに分裂する。その後、二つの団体はともに活動が鈍り、現在に至る。現在、両者の対立を超える新たな団体の組織化が進行していて、2013年4月に新組織を旗揚げする準備が行われている。これは「アンベードカル主義作家連盟」という名称(予定)で、ヒンディー語地域のみならず、インド全国のダリト、少数者、被抑圧者に広く呼び掛けて組織化することを目指している。現在、ヒンディー語のダリト文学は若い世代に作家層が拡大し、新たな活動期に入る兆候が見られる。新たな組織が若い世代を取り込むことができれば、ヒンディー文学全体に影響を与える存在に発展する可能性がある。

 


発表者③:

小松久恵(追手門学院大学)

タイトル:「女が語る『生』と『性』 ―近現代ヒンディー文学をめぐる一考察」

要旨:
本報告は近現代のヒンディー文学における女性の書きものを取り上げ、彼女らのジェンダー認識の変容について検討するものである。近代北インドでは女子教育の普及と共に、女性たちが様々な形で文学と関わり始めた。もっとも彼女らに書くことが許されたテーマは限られたものであり、中でも「性」をめぐっては女性たちは沈黙するか、あるいは匿名で自身の恋愛体験を語るのみであった。しかし時代は変わる。現代ヒンディー文学界において、女性作家にとっては「性」はもはや隠匿すべきテーマではない。彼女らの作品を複数取り上げ、女たちが「性」あるいは「生」とどのように向き合い表象しているのか、その主張あるいは認識の変容を考察する。

 


発表者④:

萩田博(東京外国語大学)

タイトル:「文化的伝統へのまなざし ―インドにおけるウルドゥー文学者とインド・イスラーム文化」

要旨:
インドにおいてマイノリティーの文学であるウルドゥー文学はパキスタンにおいてはマジョリティーの文学でありその立場は大きく異なる。インドからパキスタンに移住したウルドゥー文学者(特にウルドゥー語を母語とする人々)にとって自らがパキスタン移住を選択したことの根拠を問いかけることは一つの大きな課題であった。パキスタンでのこうした状況とインドでの状況は大きく異なっていた。進歩主義文学運動に理念的に共鳴していたウルドゥー文学者はほとんどインドに残ったし、分離独立に対して否定的な考えを示した作品も多く執筆された。今回はヒンディー語の作家として著名なラーヒー・マースーム・ラザー、ウルドゥー詩人であるカイフィー・アーズミー、アリー・サルダール・ジャアフリーなどを取り上げて、インドのイスラム教徒であることを彼ら自身がどうとらえどのようなアイデンティティーを模索していったのかを、パキスタンのウルドゥー文学者と対照しながら考察してみたい。

【一般参加者歓迎】

 

パーマリンクをブックマーク

コメントは受け付けていません。