【FINDAS】[第4回FINDAS若手研究者セミナー]「ディアスポラ文学と<オーセンティシティ>への挑戦」

【日 時】2012年12月23日(日) 13:00~17:00

 

【場 所】

東京外国語大学本郷サテライト7階会議室(http://p.tl/p5yo

発表者①:


松木園久子(大阪大学)

タイトル:

Salman RushdieまたはJoseph Anton ―オーセンティシティを問いかける名前

要旨:

本発表では、Salman Rushdieが駆使する名前に焦点を合わせ、彼が描き、また生きている世界に迫りたい。彼の小説は、登場人物の名前が非常に寓意に富んでいる点が特徴的である。先ごろ出版された自伝のタイトル“Joseph Anton”も、ホメイニ師による死刑宣告を警戒して実際に用いられた彼自身の偽名を示している。人の名前は一般に、生まれた文化や社会、そして言語によって規定され、翻訳不可能なものといえるだろう。しかし移民先あるいは他言語においては、たとえば姓が示す信仰や出自などは理解されず、誤った発音で呼ばれるなどして、本来のオーセンティシティを保てなくなる。これはアイデンティティをも揺るがす象徴的な異文化体験だが、さらに興味深いのは、改名したり、別名や匿名を用いることにより、アイデンティティが操作される側面である。たとえば“The Satanic Verses”(1988)では、一人の人物に対してSaladin Chamcha、Spoono、Salahuddin Chamchawalaなどの名前が使い分けられている。Rushdieの小説や自伝に描かれた名前にまつわる事例を通して、オーセンティックなインド性が定められ、求められ、また変質する過程を考察していく。

 


発表者②:

小松久恵(北海道大学スラブ研究センター)

タイトル:

Too Asian, not Asian enough ―「ディアスポラ文学」を考える

要旨:

本報告は現代英国で活躍中の若手インド系作家を取り上げ、彼らの文学活動に常につきまとう「オーセンティシティ」について検討するものである。2000年代に入り、特に9.11以降英国において南アジア系の作家(ブリティッシュ・エイジアン)による文学は、「隠された世界を明らかにする内側からの発信」として大きな注目を集めるようになった。しかし彼らの文学作品は常に、その作品内容に関わらず「エイジアン」あるいは「インド系」という帰属レッテルに基づいて評価され、書き手には「オーセンティシティ」が要求される。移民2世、3世にあたる彼らはそのレッテルや期待にどのように向き合い、対処しているのか。日本ではまださほど馴染みのない若手インド系作家を複数紹介しながら考察する。

 


コメンテーター:

井上暁子(北海道大学スラブ研究センター、移民文学研究)

 

【一般参加者歓迎】

 

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