総括代表 あいさつ

総括責任者 藤田幸一

総括代表 藤田幸一

2010年度に発足した人間文化研究機構「現代インド地域研究」は、「現代インド」の動態を総合的にとらえるとともに将来を展望できるような学術的視角と方法論を確立し、全国的かつ国際的な連携研究が可能になる組織体制と学術環境を整えることを目的として、京都大学(中心拠点)、東京大学、国立民族学博物館、広島大学、東京外国語大学、龍谷大学の6拠点を結ぶネットワーク型の共同研究事業を展開し、2015年4月からはその第二期事業を開始しました。

しかし、このたび、2016年4月から、第二期事業を廃止した上で、「南アジア地域研究」と名称を改め、6年間の新たな事業として再出発することになりました。「南アジア地域研究」は、これまで「現代インド地域研究」の名の下に、実質的に、インド以外の南アジア諸国、すなわちパキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブをも包含する形で、地域的一体性の強い南アジア地域全体を研究対象としてきた事実をさらに強化しつつ、引き継ぐものであり、これで名実ともに、南アジア地域全体を対象とする地域研究プログラムとなります。

「南アジア地域研究」では、「現代インド地域研究」第二期事業を引き継ぎ、以下のような重点事業を推進していきます。第1に、これまでの事業展開によって国内のネットワーク型共同研究体制が一定程度整備されたことを踏まえ、国際的な連携強化により一層力を入れ、海外に積極的に発信し、双方向のコミュニケーションをより活発にすることをめざします。そのため、海外に散らばる南アジア研究センターとのコンソーシアム構築をめざした活動を推進していきます。また、国立民族学博物館を、主に海外との連携強化を担当する副中心拠点とし、中心拠点をサポートする体制を維持・強化していきます。

第2に、南アジア地域の総合的理解を引き続き推進しますが、一歩進んで、地域研究者ならではの総合的・俯瞰的で深い理解をベースにしつつ、現実の問題解決を志向する研究を行います。南アジアは、急速な経済発展を基盤に社会文化も大きく変容しつつありますが、それに伴ってさまざまな社会・経済・政治問題が深刻化し、新たな問題も噴出しています。域内および域外との国際関係の緊張も予断を許しません。それは、グローバル化がますます進展する中、適切な対応がこれまでよりもさらに重要となっているわが国にとっても、到底無視しえるものではありません。そうした現実の問題解決を志向するため、「南アジア地域研究」では、「現代インド地域研究」の第二期事業を引き継ぎ、全体テーマを「グローバル化する南アジアの構造変動―持続的・包摂的・平和的発展のための総合的地域研究」とし、副題にある3つの理念に関連した研究を推進していきます。

むろん、地域の理解にとって長期的な視点が欠かせないことは、いくら強調しても足りないことはいうまでもありません。現実の問題解決は、歴史的視点からの深い洞察なしにはありえません。したがって、「南アジア地域研究」でも、これまで同様、歴史研究および歴史と現代をつなぐ研究を重視していきます。

また「南アジア地域研究」では、これまで以上に、自然科学と人文・社会科学の協働を重視します。世界の地域研究が人文・社会科学に偏っている現状を鑑み、より自然科学を包摂しつつ進化してきたわが国地域研究の伝統を、南アジア地域の総合的理解のために生かしていく努力をします。

最後になりましたが、6年間の「南アジア地域研究」プログラム発足にあたり、補足説明を1つします。それは、最初の4年間が「現代インド地域研究」の第二期事業をほぼそのまま引き継ぐものであるのに対し、最後の2年間は、それまでの研究活動をベースとして、その成果を生かすような諸活動に重点をおく予定になっている、という点です。

以上のような趣旨をご理解いただき、これまでの「現代インド地域研究」の成果を踏まえ、これまで以上に多くの方々に参加・協力いただきますとともに、社会の広い層のみなさまの一層のご支援をお願いするしだいです。

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